






• • •

Trevor Corson
略歴:
1969年 アメリカ、ボストンに生まれる
1986年 高校の夏休みに日本ホームステイ
初めて鮨と出会う
1987年 奨学生として北京師範大学に二年間留学
留学中にジャーナリストとして執筆活動を始める
1994年 米プリンストン大学にて宗教学、東アジア学の学位取得
1995年 日本の仏教寺院で二年間仏教を勉強する
1998年 ジャーナリストとして、雑誌 The Atlantic Monthlyに勤務
2000年 米ハーバード大学ジャーナル Transition の編集者を務める
Alternative Press Award 国際報道部門を3度受賞
National Magazine Awardの総合部門にノミネートされる
2004年 著書 The Secret Life of Lobsters を出版
The Best American Science Writing の作品集に収録される
USA Today により A Best Nature Book of the Year に選出される
2007年 著書 The Story of Sushi を出版
その他の執筆活動:
The New York Times、The Wall Street Journal、The Los Angeles Times、The Boston Globe、The Atlantic Monthly に寄稿。
現在、ニューヨーク市で新著書を執筆中。
• • •
ニューヨーク・タイムズ — オピニオン
New York Times — Op-Ed
「2人でスシを 」
“Sushi for Two”
By Trevor Corson
July 15, 2007
クロマグロの枯渇問題が一面記事になって、もうスシは食べられないのでは、と私だけでなく国中の人が混乱し心配しているが、われわれもサカナも、新しいスシの食べ方については、スシ職人と客とが合意に達したアメリカ流スシから学ぶところが多いのではないだろうか。
スシ通や漁業会社は、マグロはスシには欠かせないものでその漁獲の制限は伝統的な日本文化を脅かすものだと主張するがそれはナンセンスな話。伝統的に日本人はあの脂っこい部分はスシには向かないと考えて、ボイルした貝・エビ・カニ、サバ類の酢〆、タイやヒラメの薄切りなどを珍重していた。そこに20世紀になって入ってきた西洋料理を知った日本人はマグロの赤身とともにトロを愛でるようになったのである。
それでもなお日本人はこだわりを持っている。東京で近所のスシ屋に行った時のこと、スシ屋の主人は名バーデンダーのごとく客の名前をみんな知っていてにぎる間も客と軽口をたたく。テーブルとメニューではなく、バーカウンターに客が腰掛けて旬の味は何かと尋ねると、仰々しくなくてもこれは、という小魚、歯ごたえの良い貝、驚くほどやわらかいタコなどを出してくれる。
スシが米国進出した1970年代、日本人のスシ職人は伝統的なネタでアメリカ人を慣らそうとして、日本にあるご近所のスシ屋のように楽しい会話があって、メニューなしの納得価格で信頼関係をつくろうとした。
しかしアメリカのスシにはちょっとした裏話があって、アメリカ人客は日本人のように幅広い評価力を持っていないと見た日本人スシ職人は最初からアメリカ人を教育せずに、マグロ、サーモン、ボイルエビといったシンプルなネタで勝負に出た。
今アメリカ人の多くは、むずかしい顔つきのスシ職人を敬遠して、カウンターには座らず、注文の仕方や支払方法もわからずにいる。自分たちのスシを理解してくれないアメリカ人に飽き飽きしたスシ職人は、それに代わって、楽しくていい味の特別なトッピング(ネタ)を考えつく。
というわけでアメリカ人は、べらぼうに高いエリート向けレストランでスシ職人主導のおまかせスシ、そして安価で見当のつく値段の近所のスシの双方から離れられないことになったが、この両極端が、高価なクロマグロの大トロにも、化学薬品で赤色を保ち何ヶ月も冷凍保存された味のない赤身にも依存しなければならない理由なのだ。
われわれに必要なのはマグロ自体ではなく、われわれ自身を見出すアメリカン・スシのルネッサンスであり、きっとそれは日本人にも、スシとは何か、を考えさせることになるだろう。近所のスシバーに行くことは、調和のとれた温和な感覚で、すばらしく多様な海の恵みをめでる、社会的コミュニケーションなのだ。
客はテーブルについてメニューなど見ないことをおすすめする。カウンターに腰掛け、今日のおすすめは何か、どうやって食べたら美味しいかなど何でも職人に聞くべきだ。そしてアメリカ人が溺愛するマグロに背を向けて(初心者はサバで)、ニセわさびの代わりに(職人にまかせ)、醤油をつけ過ぎないで(必要なら職人にまかせて)、ハシは使わないこと(指を使えば職人も日本のようにゆるく握る)。このようにシンプルなルールでスシ職人と友人になれるなんて、そしてこんな新しい味のアドベンチャーができるなんて、と驚くこと請け合い。
その代わり職人は、日本人であろうとなかろうと、スシの伝統文化をたたえて、ストイックにならずにわれわれに教え、にぎる前に予算についても喜んで率直な会話を交わすべきで、それがアメリカ人客を快くシェフのおすすめに従わせる唯一の方法なのだ。スシは安くなければならないわけではないと同時に法外な値段であってもいけない。それでは常連の客層ができないからだ。
職人シェフと兄弟付合いするのはアメリカ人にとって苦手かも知れないが、われわれはもう40年間アメリカでスシを食べているのだからそろそろわれわれ自身のため、そして戦闘態勢のマグロのためにも、見直す時期がきた。スシ屋のカウンターで話そうじゃないか。

All text, photos, videos, and other content on this website that was originally created by Trevor Corson is copyrighted material, © Trevor Corson.
“The Lobster Sex Guy” and “Sushi Concierge” are TradeMarks of Trevor Corson.
TREVOR
CORSON
STORY SUSHI
THE
of
Bonus: